「(住居)見せられて」呪ディ・怨グ

一昨日にも書いたが、以前東京から小田原の国府津という所に引越して、三年ほど住んでいた。


その時の引越し時の条件が、戸建てで、家賃が安く、都内にも行こうと思えば日常的に行ける距離で落ち着いた場所、しかも海の近くならなお良い、と思っていて、とりあえず神奈川方面にアタリをつけた。


最初は横須賀などで探しており、実際に内見にも行ったのだが、その中に、めちゃくちゃ広くて(3、4LDKくらいはあった)家賃が5万円という破格の一軒家があった。


数軒見回ってからの最後だったので、その場所に着いた頃、辺りは真っ暗であった。

車から出ると、真冬だったので恐ろしく寒く、轟々と風が吹き狂っていて、嵐のよう。


とにかく中に入ろう、というので、業者に鍵を開けてもらったのだが、中の電気が通じておらず、暗闇の中を懐中電灯で照らしてもらう、という肝試しスタイルで、家もいい感じに古く、不穏な空気が充満している。


軒先には前の住人が残していったであろうゴミの残骸が散らばっていた。


窓の位置が異様に高く、木目調の壁も圧迫感があり、嫌な緊張感と息苦しさで早くも帰りたくなったが、せっかく頼んで連れてきてもらった手前そうとも言い出せず、仕方なく各部屋を見て回った。


ゴウウゥ、ゴウウゥ、と風の音がすごい。

地鳴りのようであった。


二階の部屋から先に見て、最後に一階の台所兼居間へと至ったのであるが、その一番奥の大きな窓を懐中電灯が照らした時、窓ガラスの真ん中に、人の手形が付いていたのが見えた。


その瞬間、「助けて」という声が脳の中にこだまし、全身粟立って震えがきたので、急いで切り上げ帰った。


車の中で即刻断りを入れ、横須賀での住居探しも諦めてしまった。


その後場所を変えて湘南方面で探し始め、最終的に国府津の家へとたどり着くこととなる。

そこでもまあ色々あった(今となっては笑い話であるが)のでいずれ書きたいと思うが、今日はこれまでとします。

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