10年以上前の話であるが、ある夏の日の夜、東京都内の某霊園へ行った。
当時働いていたバイト先の子達と肝試しをやろう、という話になり、バイトの中で仲の良かった二人と一緒に仕事終わりに下見に行ったのである。
人気のない霊園はやはりなかなかの恐怖感があり、たまにその中を一人で通り過ぎる女性なんかもいて、よくこんな所を…と思ったりしながら、怖いのでざっと見て(三人ともかなりのビビリだった)そろそろ帰ろうかというような感じになっていたのだが、その時
「ぎゃあああああぁぁぁぁぁ」
というようなとんでもない悲鳴が聞こえてきた。
三人とも身が竦んで一歩も動けず、顔を見合わせながら佇んでいたのであるが、その後
「痴漢です…!!助けて!!!」
若い女性の声であった。
それからすぐ何者かが猛スピードでこちらに走ってきて、どうやらそれが犯人らしいと察知した我々三人衆は、勇気を振り絞り、横並びになって道を塞いだ。
しかし、犯人の逃走しようとする必死さは凄まじく、もの凄い勢いで突進してきて、あっさりと私側のサイドから突破された。
私たち三人はなす術なし、といった感じで、しかし食い下がって後を追おうとした所、後ろから来た若く背の高いサラリーマンの男性(おそらく20代後半〜30代くらい)が犯人の横側から見事な中段蹴りを食らわせた。
吹っ飛ぶ犯人。
思わず
「かああぁぁぁっっっっこいいいいぃぃぃぃぃ!!!!」
と男ながらに惚れてまいそうになりましたが、とにかく犯人をみんなで取り囲み、一人が近くの交番に走っていってお巡りさんを呼んで来まして、とりあえず一件落着。
サラリーマンの男性は、お巡りさんが来たのを見届けると、名前を告げることもなく、颯爽と去って行きました。
被害にあった女性の話によると、突然後ろから抱きつかれたとのこと。
犯人は体格の良い小太りの30代くらいの男性で、こんな人に後ろから飛びかかられては、とても抵抗するのは難しいだろうし、とんでもなく恐ろしいだろうなと思いました。
女性の方々、人気のない夜道(特に霊園)ではくれぐれもお気をつけください。
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