車が好きだ。
なぜそんなに好きになったのか不思議だが、何か自分の中で惹かれるものがあるのだと思う。
地元にいた十代の頃、一年間だけ車を所有したことがあったが、当時はあまり車に興味がなく、乗れれば何でもよかった。
乗っていたのも十五万で買ったスバルの軽自動車で、特別こだわりや思い入れがあった訳でもなかった。
周りの車好きと言う友達や知り合いは基本的にスポーツカーなどに乗っていて、運転も飛ばすのが好きだったり、いわゆる走り屋タイプの人ばかりだった。
漫画の頭文字Dなどが流行っていて、そういうものに影響を受けていたようである。
僕は運転は好きだが飛ばすのは好きではなく、ダラダラと自分が心地よい速度で走るのが好きで、後ろにつけられたりするのも好きじゃなかった。
東京に来てからは金銭的にも車を所有するなんて余裕はなかったし、興味もなかったので特別車に対してどうこうというのはなく過ごしてきた。
ところが三、四年前くらいだっただろうか、たまたまネットで見かけた、古いフィアットのパンダという車に一目惚れした。
クラシックというほど古い訳でもなく、ちょうど自分が子どもの頃に走っていたような角ばった形の、ギリギリダサいような、カッコいいような絶妙感が何とも言えず、そこからネットの画像を漁り、携帯に保存しまくった。
そこからまずフィアットが憧れのメーカーになり、その当時のパンダをデザインしたジウジアーロというデザイナーを知った。
のちにバック・トゥ・ザ・フューチャーシリーズで使用されていたデロリアンも彼のデザインだと知って、余計好きになった。
いつかパンダに乗れたらいいな、と思いながら、古い車を所有することのハードルの高さも知ってきて、やっぱり無理かな、とか、今のパンダでもいいかな、とか色々妄想する日々だった。
小田原に住んでいた頃、通り道の中古車屋に黄色いフィアットのプント・アバルトという車が十四万円で売られていて、欲しいなぁと思いながら毎日仕事に行っていた。
そのうちその車がなくなっていて、すごくショックだったのを覚えている。
車に対する熱は一時期よりは収まったものの、自分が好きな車をいつか買って乗りたい、という気持ちはずっと持っていて、まだ全然実現はできそうにないが、あきらめずに生きたいと思う。
そういえば、前述した「おぎやはぎの愛車遍歴」でスチャダラパーのBOSEさんが出た時に、矢作さんと二人ともが、「今まで乗ってきた車で一番よかったのはフィアットのパンダ」と言っていたのが、めちゃくちゃ嬉しかった。
矢作さんははじめて買った車がパンダだったそうで、元々ファンだったが、さらに好きになった。
しかしなぜそんなに車が好きなのだろう。
全然システムに関しては詳しくないので、エンジンがどうとか、空冷?V6?何のこっちゃ、みたいな感じだし、飛ばしたいという気持ちもないし、高級車に乗りたいとかもない。
正直乗れりゃあ何だっていいっちゃよくて、ただ、自分だけの空間で、自分で運転して、色々な場所に行けたり、快適に過ごせたり、好きな音楽を聴きながらドライブできたりするのが最高なのだ。
それがさらに自分の好きな車なら、より最高である。
もしかしたら軽い現実逃避の手段でもあるのかもしれない。
あー車乗りたいなぁ。
ドライブしてぇ、他に車のいない道をダラダラと。
どこへ着くかわからないまま、道にまかせて。
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